第7章 虫襖-ムシアオ-
15年前…
父親が多額の負債を抱えて、両親は離婚した。
じいちゃんのところに預けられてた俺と姉ちゃん達は、途方に暮れた。
母さんに引き取られたけど、母さんは俺たちを養っていくのに、仕事ばかりしてて。
たまに会う父さんは、見るたびに窶れていった。
俺の仕事は少しずつだけど、軌道に乗っていたから、母さんに頼んで、父さんに金を渡してもらってた。
「和也…お前の金だからいいんだよ」
父さんはそう言ってくれたけど、俺は男だし、何かしたかった。
幸い、芸能人って職業は給料だけはいい。
それに…
こんなツラだから、変な趣味を持つおっさん達も寄ってきた。
誰にも言わないで、俺は自分の身体を売った。
そうやって少しずつ貯めた金を、両親に渡してた。
でも父さんの借金は、そんなものではどうにもならないくらい大きくて。
高校2年の時、じいちゃんの家を出て一人暮らしを始めた。
事務所にはナイショだ。
そこで、客を取った。
なるべくバレないよう、エグゼクラスのおっさんばっかり選ぶようにしてた。
向こうもバラされたくないし、俺もバレたくない。
それに、向こうは俺を好きにできるって特典付きだ。
バレる心配はなかった。