第6章 きみどりscene3
智の唇に、触れた。
熱い涙が、しょっぱい。
「いいの…?俺、こんなヤツなのに…」
「バカ…今更何いってんの…」
ぎゅっと、今度は俺から抱きしめた。
「どんなあなたも、丸ごと好きなんだよ…?」
「かず…」
智の手が、ゆっくりと俺の背中に回ったかと思うと、ぎゅうっと抱きしめられた。
「ありがと…かず…ありがと…」
「俺も…ありがとうね…さと…」
またお互いをきつく抱きしめあうと、俺達はいつまでもそのままの姿勢でいた。
智の涙が止まるまで。
涙が止まると、やけに男らしい顔をしながら、智が俺を抱き上げた。
「えっ…ちょっと…」
「明日、オフだったよな?」
「え…多分…」
「じゃあ、今夜は寝かさない」
「えっ…ちょっと…」
「ずーっと、一晩中、可愛がってやる」
寝室に直行すると、俺をベッドに投げ出した。
「や、や…ちょっと…待って…」
「お前がかわいいからいけないんだぞ?」
ギシっと音を立てながら、ベッドに乗ってくる。
「ばっ…ばかっ…あんただって、さっきは相当かわいかったじゃないっ…!」
「俺、かずしか見えないもん」
「あ。もうキレた。今日は、さとのバージン奪ってやる」
「えっ…ちょ…」
智の腕を思いっきり引っ張った。
俺の胸に崩れ落ちてくる。
「オラ、尻だせ」
ぐるんと後ろを向かせた。
「やっ…やめてぇ…」
「ぶっ…」
「あっ…かずぅ…」
「ばか…するわけないじゃん…」
ベッドに智を押し倒して、胸板に顔を埋めた。
「ずっと…ここにいてもいい…?」
「…あたりまえだろ…」
「嬉しい…」
そのまま、智が甘い甘いキスをくれて…
一晩中、俺たちは絡みあった。
しあわせは、ここにいる。
【END】