第5章 レイヴンscene2
暗い深海も、温かい海面も。
俺からは遠いところに今はある。
一人ベッドに横たわって、手を伸ばす。
果たして、これで良かったんだろうか。
両方共手に入れた。
そして、二人共無理してる。
俺のことを思って。
俺が気にしないようにしてくれてる。
今、幸せいっぱいのはずなのに、どうしていいのかわからない。
…これが、俺の贖罪なのかな…
あの二人にできる罪滅ぼし。
これが…この孤独が。
俺にとってできる、最大の罪滅ぼしなのかな。
両方手に入れることによって、両方失う可能性もできて。
そんな日を恐れて、俺は身体にムチ打ち二人を愛する。
それでも…
二人が離れていかないって保証はない。
どこにもないんだ。
手を握ると、ぎゅっと胸に抱いて眠った。
孤独を忘れないように。
孤独に、負けないように。
「雅紀、ただいま…」
「雅紀、帰ったよ…」
二人が俺の頬を包む。
おかえり。
愛おしい人たち。
【END】