第4章 灰紫
散々泣いて…
翔ちゃんは黙って俺の胸に抱かれていた。
ぎゅっと俺のバスローブを掴んで離さない。
まだ時折、しゃっくりが出る。
俺はずっと背中をさすっていた。
「翔ちゃん…もう大丈夫だよ…」
俺はだんだん、なんて言っていいかわからない感情がこみ上げてきてた。
翔ちゃんが、あの翔ちゃんが。
大人しく俺の腕の中にいる。
すがりついてる。
誰にも見せない姿を見せてる。
ゾクゾクした。
たまらなかった。
なんでこんな興奮してるのかわからない。
でも俺は、翔ちゃんに劣情を抱いてしまった。
愛おしい。
…壊してしまいたい…
俺はゆっくりと翔ちゃんの顎を持ち上げた。
そのふっくらとした唇に、自分のそれを重ねた。
ゆっくりと、潤の痕跡を舐めとる。
「やだ…智…」
力の入らない腕で俺のこと、押しのけようとする。
でも俺はその手を取って、翔ちゃんをベッドに押し倒した。
ゆっくりとベッドに沈み込む翔ちゃん。
「今、体中きれいにしてあげるからね…?」
そういうと、潤が触ったと思うところ全部にキスをした。
ゆっくりゆっくりと翔ちゃんの顔をみながら。
確認するように。
「やめて…お願い…」
また泣きだしてしまったけど、俺はこうせずにはいられなかった。