第4章 灰紫
「なんだよ…これ…」
やっと、自分が縛られてることに気づく。
「潤…お前…裏切ったのかよ…」
「翔くん…なんで…?」
「は?」
「智、あんなに翔くんのこと好きなのに…なんで信じてあげないの…?」
「…んでだよ…」
翔くんが俺の下で身じろぎする。
「なんでお前にそんなこと言われなきゃならねえんだよっ!」
翔くんの目が凶暴に光った。
智のことになると、翔くんは時々こういう風になる。
我を忘れる。
「智は、俺だけのモンだ!お前が劣情もってるだけでも許せねぇんだよ!」
ぎりっと歯噛みする。
「お前に劣情を抱かせる智も許せねぇ…」
目が充血してくる。
「翔くん…やっぱりおしおきだよ…」
「はぁ!?何言ってんだって!」
噛み付いて来そうな翔くんの口にシーツの端を詰めた。
「んーっ…」
身体を捩って抗議してくるけど、もう知らない。
俺は…こんなやり方しかできない…
ごめんね智…
智を傷つけた、翔くんを今から傷つけるよ…
それを…
そんな翔くんを、智にあげる…