第3章 萌葱-moegi-
「うん…」
俺は口を大きく開けて、ブロッコリーを食べた。
俺もドレッシングをつけて、ブロッコリーを智にあーんした。
「はい。あーん」
「ん…」
照れたように笑うと、口を大きく開けた。
ぱくっと食べると、にこっと微笑んだ。
「しあわせ」
そういうと俺に抱きついてきた。
「もっ…もう…智…食べらんないよ?」
「食べさせて~?」
「しょうがないなぁー…」
俺はパンをちぎって智に食べさせた。
俺の膝に転がりながら、本当に幸せそうな顔をしてる。
オレンジジュースを口に含んで飲ませた。
「んふ…毎日、してね?」
「え?」
「毎日、オレンジジュース飲ませてね…?」
「…わかったよ」
ブロッコリーを食べさせると、また笑った。
「しあわせだね…雅紀…」
「うん…とっても幸せ…でも…」
「ん?」
「俺にも食べさせてよ~!」
「あ、ごめんごめんっ」
慌てて起き上がって、俺にちぎったロールパンを食べさせてくれた。
しあわせ。
そうだね。
とってもしあわせだよ。
ブロッコリーを智が口に咥えた。
俺に食べろと差し出す。
俺は目を閉じて、ブロッコリーごと智を食べた。
小さな、幸せ。
【END】