第2章 巨人を狩る鬼
845年
【その日、人類は思い出した。】
50Mはある壁に
赤い赤い、筋肉が剥き出しになった手が置かれ、轟音が鳴り響く。
そして、ゆっくりと手の持ち主である巨人が顔を出した。
人々は、その光景にただ呆然と立ち尽くし、その巨人を見上げた。
【ヤツらに支配されていた恐怖を】
次の瞬間
嫌に響く轟音と共に、壁に穴があいた。
砕けた壁の破片が町中に降り注ぎ建物や人間を容赦なく襲った。
【鳥籠の中に囚われていた屈辱を…】
遅れて人々が絶叫しながら逃げ出す。
我先にと逃げる者、親を見失い立ち竦む者、岩に潰された家族に縋る者…。
そんな人間達の様子を見下ろす
一人の女がいた。
屋根の上から見下ろす彼女は、黒い腰下まである髪を靡かせ、黒真珠のような瞳を巨人に向けていた。
そして、その身に纏うは兵士の隊服。
その背中には
‘‘自由の翼”