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Fate/Fantasy Of Cthulhu

第3章 春という季節


初も釣られ苦笑する。
「ふぅ、お互い肩の力を抜いた方が良さそうだね」
「ええ、全くその通りですね」
二人で揃って笑った。
やがて、落ち着いた頃にアルトリアが口を開いた。
「初は後悔、しているのですか?」
「えっ・・・」
「この部屋に入った時に初は外を眺めていた。それは良いのですが・・・とても遠い目をしていました。なので私は感じました。この方は、きっと後悔をしているのだろうと」
「後悔・・・か。この気持ちはそうかも知れない」
「初・・・」
「もっと音楽をやりたかった!オレがリーダーじゃなかったら、あいつは死ななかった!!ネロにアルトリア、他の皆をライウ゛に招待できたかも知れない!!!リーダーになるのはオレではなかった・・・」
初はいつの間にか下を向いて悲痛な叫びをあげていた。
「初」
「えっ!?」
アルトリアの真剣な口調に反応し顔を上げた。
アルトリアが突然、初の頭を自分の胸に抱き寄せた。
初は慌てていたが暴れることはなかった。
「それは大変無念だったでしょう。初の無念さは私には分からない。しかし、貴方は大事なことを忘れている。貴方がリーダーだったからこそ、メンバーが一致団結して素晴らしい音楽を作り上げた。貴方がリーダーだったからこそ、こうして私たちと再会できた!!」
アルトリアの抱き寄せる力が少し強くなった。
「貴方と再会でき、とても嬉しい・・・」
「あっ、アルトリア・・・。うっ、うっ」
初はアルトリアの胸を借り泣いた。
アルトリアはその間、何も言わず初の頭を撫でていた。
「落ち着きましたか、初?」
「あぁ、何とかな。その・・・みっともない、ところを見せて悪かった」
「いえ、お気になさらずに」
初に恥ずかしそうに頭を掻きながら言った。
初は吹っ切れたのか、清々しい表情をしていた。
「いい顔になりましたね。さて、夜も遅いので私は失礼します。お休みなさい、初」
「お休み、アルトリア」
この晩、初はぐっすり眠ることができた。
翌朝、歩が目覚め初と再会した。
隆の提案で初と歩は戦うことになったが、それはまた別の話。
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