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Fate/Fantasy Of Cthulhu

第3章 春という季節


「康介~!」
声の主は美希の彼氏である康介だった。
思いっきり手を振っていた。
美希も手を振り返し康介の下へ走った。
康介は美希を笑顔で受け入れた。
「LINEで会いたいって言っていたけど、まさか本当に会いにくるとは思わなかったよ~」
「いやいや~俺は嘘をつかない主義ですからね」
「いや、つくだろう!」
「何のことかな~俺には分からないな~」
康介はとぼけ、美希がムキになる。
それを見て康介は苦笑する。
「康介、ここに来て大丈夫なの?仕事とか・・・」
「仕事?ナニヲイッテイルノカワカラナイナ」
「棒読み・・・」
康介がこう言う時は依頼が入ってこないか、サボったのかどちらかである。
「サボったの?」
「依頼がこなかったんだよ!」
「自信満々に答えないでよ・・・」
康介の答えに美希は呆れた。
康介の下に依頼がくるのは少ないが、何も支障なく暮らしているのは康介の手腕とも言えるのかもしれない。
もしかしたら、美希の知らないところで、とてつもない努力をしている可能性があった。
「ねぇねぇ、美希って今一人なの?」
「見て分かるでしょ、そんなに目悪かったの?」
「質問のしかたが悪かったな・・・。今日もサーヴァントを連れているのか?」
美希は康介の質問の意図を理解し苦笑した。
康介は美希が苦笑したのに戸惑った。
「もしかして・・・康介、嫉妬しているの~?」
「し、してねぇし・・・」
誰の目から見ても分かる反応だった。
「してない、ということにしとくよ~」
「納得いかねぇ~。で、連れているの?」
「うん。勿論だよ」
「そうか~・・・」
康介は肩を落としガッカリとした表情を浮かべた。
美希が何か声を掛けようとした時、康介は自力で立ち直った。
「仕方ないか~。美希には美希の家の掟があるからな~」
「掟って言う程重くはないと思うけどな」
土御門家には、掟と呼ぶには重すぎるがいくつかの決まりがある。
陰陽師としての心構えを忘れないこと、外出時にはサーヴァントを連れていくこと、サーヴァントと信頼しあえる関係を築くことなど・・・。
ただ、この掟は約800年前に作られた物である故に現代では通用しない、または通用しにくい掟もある。
例を挙げるのであれば、サーヴァントを連れていくことである。
見回りの時は連れていくが、普段(休日を除く)以外は連れていない。
美希は例外的に連れているが。

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