第22章 夢と現実
数日後、天音の背中の傷口は塞がり無事退院する事が出来た。担当の先生にお礼を言い全員は病院を後にし、万事屋へ帰るまで四人は肩を並べて歩いて帰った。
新八「もうあの時は本当にどうしようかと思いました。」
神楽「本当ネ。私達も相当焦ったけど、この天パが一番焦ってたネ。」
銀時「うっせ!!あんなん誰だってビビるわ!そんな事より背中の傷、本当にもう大丈夫なのか?」
帰り途中、銀時達はあの修羅場の事を語りながら歩いていた。天音が無事回復出来たからこそ今こうして話せるものの、当時はどれだけ全員が心配し、目を覚ますまでの間どれだけ参っていたかなど天音は勿論知らない。そして銀時は背中の傷を最後の最後まで心配し、天音にそう訊ねた。だが銀時の心配とは裏腹に意外にも本人はあっけらかんとしていた。
『大丈夫ですよ!傷痕は残っちゃいましたけど、えへへ。』
銀時「何お茶目気取ってんだ馬鹿野郎。」
一生消えない傷痕を残されたにも関わらず何故こんなにも晴々としているのかと銀時達は疑問を感じ、もしかすると自分達に気を使って無理に明るく振舞っているのかと思い心を痛めた。しかし天音の口から出た言葉は銀時達が思っている様な事よりも遥かに斜め上を行っていた。
『私後悔してません。むしろ銀さんを守ることが出来て良かったです。だからこうして銀さんは今も元気!でしょ?』
銀時「……お前。」
天音は三人より少し歩き、最後に振り返って銀時達に笑いかけた。その言葉と表情で三人に重く伸し掛る感情は振り払われた。もちろん後悔しても後悔しきれなかったが、本人がそう言っている以上もう何も言えないと、四人は話を切り替え再び肩を並べて歩いて行った。