第22章 夢と現実
天音side…
銀時「おい!天音!天音!!!」
…銀さんの声が聞こえる。私の、大好きな人の声。
私が最も会いたいと思った人の声。
少し目を開けるのが怖い。また目を開けて、銀さんの声が幻だなんてことだったとしたら、私はきっともう立ち直れない。
けど、信じたい。この声は幻なんかじゃないと。
そして目を開ければ銀さんが居て、またここに戻ってこれたんだと、これが現実なんだと、信じたい…。
私は不安と期待を交差させながら重い瞼を恐る恐る開けた。
銀時「っ!!天音!分かるか!?俺!坂田銀時!!!」
目を開ければ、そこに居るのは私を見て私の名前を呼ぶ愛おしい人の姿。あぁ、夢じゃなかった…これが、現実なんだ、よかった…。
『………銀さん…、私……うぁっ、』
私が声を発した途端目の前から銀さんが居なくなった代わりに、銀さんの香りと体温が私に伝わった。そして私にこれが現実だと知らせると同時に、あの時に負った傷口が痛んだ。
『……銀さん、背中が、痛いです…。』
銀時「……悪ぃ…我慢出来るなら、して欲しい…。」
『そんな無茶な…でも、分かりました、出来るだけ我慢します…。』
傷口がズキズキと脈を打っていたが、そんな痛みよりも今こうして銀さんが居る事の喜びと安心感の方が遥かに上回り、まるで銀さんが傷を癒してくれているように感じた。
さっきまで感じていた不安感を銀さんの香りと体温が取り払ってくれ、その瞬間私は小さな子どもの様に大きな声を上げて泣いていた。