第22章 夢と現実
あれから新撰組の活躍によって、生存している浪士達は全て捉えられ無事屯所へと連れていかれた。土方達は高杉達を捕らえることが出来ず、そこだけが心残りだったが多くの浪士を捕らえたことにより大方満足していた。
その数日後、屯所内の一室で土方達が話していた。
近藤「トシ、天音ちゃんの見舞いは行かなくていいのか?」
土方「行った所でどうにもならねぇよ。病室にはアイツもいるんだ。顔を合わせてまた喧嘩でもしてりゃ、安心して目を覚ます事も出来ねぇだろうよ。」
いくら実らなかった恋とはいえ、一度は惚れた女。というよりも、まだ気持ちが無くなったわけでは無かった。見舞いに行きたいというのが本望だったが仕事もあり、何よりも銀時がこんな状況で自分の顔など見たくないだろうと、土方なりに気を使っていた。
沖田「本当は行きたいくせに、意地張って無ぇで行けばいいんでさァ。」
近藤「そうだぞトシ。万事屋だってこんな時に言い合いする程不謹慎な奴らでは無いだろう。行ってこい。」
土方「……わーったよ。悪いが今日一日、たんまりある有給使わせてもらうわ。」
土方は近藤達に背中を押され、天音の様子を見るため手土産を拵え病院へと向かった。向かっている途中、天音が斬られた瞬間が幾度となく蘇り、顔が曇る。もう少し早く行っていればあの様な事にならなかったかもしれないと、様々な後悔を思い、自分を責めていた。