第21章 それぞれが負う傷
バレンタイン当日、三人は朝ごはんを終え一足早く新八は万事屋へ向かった。今の所依頼は入っておらず天音が万事屋へ来る頃には神楽とタイミングを見計らって定春も連れて万事屋には銀時だけという状況を作ると言っていた。そして天音は緊張した面持ちで身支度を始めていた。そんな様子を見ていられなかったお妙は準備をする天音の前へ足を運び声を掛ける。
お妙「せっかくのバレンタインなんだから、そんな落ち込んじゃダメよ?」
『…そうですよね、ごめんなさい。』
お妙「そんな不安にならなくても銀さんは貴女を本気で追い出したりなんかしないわよ。」
終始不安な天音に精一杯の言葉をかけた。完全にとまではいかないがお妙のお陰で強ばっていた表情も心も少なからず解された。
『本当にありがとうございます。お世話になりました。』
お妙「喧嘩したらまたいつでもいらっしゃい。私は大歓迎よ。」
準備が整った天音はお妙に心からお礼の言葉を告げ、志村家を後にした。
その頃新八は既に万事屋に到着しており、新八と神楽は難しい顔をしていた。
新八(ちょっと神楽ちゃん。今日依頼入ってなかったよね?どういう事?)
神楽(朝っぱらから電話掛かってきて依頼が入っちゃったアル。天音ちゃん来るんでしょ?どうしよう…。)
二人はソファーに横に並び座りながら銀時には聞こえないように小さな声で今発生している問題の解決を探していた。