第19章 男の嫉妬ほど見苦しいものは無い
『あーもう、言わんこっちゃない…。』
銀時「わ、悪ぃ。」
落ちた箸を拾おうと天音は座りながら屈み手を伸ばす。その時伸ばしていた手の近くに箸では無い何かが転がり落ちてきた。何だろうと箸では無くそれを拾い上げて見てみれば、何処か懐かしく感じさせる物だった。
銀時「ん?どうした?……それは!」
『銀さんこれってヤクル……あっ!!』
そう、天音の手にあったのは一つのヤクルコ。それが一体誰の物か瞬時に分かった銀時は天音の手からヤクルコを奪い取り無言で窓を開け腕がちぎれんばかりの勢いでそれを窓から放り投げた。何故いきなり?と天音はその様子をポカンと眺めていた。
銀時はまた無言で天音に歩み寄り腕を掴むと、玄関の方へと向かう。
『え?銀さん!?ちょっ、何してるんですか!?』
銀時「……………。」
いくら問いかけても銀時から返答が来ることは無く訳が分からない天音は神楽と新八に目を向けた。だが二人とも眉を下げて笑うだけで、この状況を解決してくれようとはしなかった。
結局振り払うにも力でどうにかなるものでもなく、いつもより断然銀時の腕を掴む手には力が入っていて手首が少し痛んだ。
そして玄関を開け、閉めたと思えば天音の腕を掴んでいた銀時の手は離されその手は背中へと回った。