第19章 男の嫉妬ほど見苦しいものは無い
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船を飛び出した天音はムカムカしながら早足で万事屋へと向かっていた。何故あんな事をされないと駄目なのかと考えていたが、本人でも無いので分かるはずもなく気が付けば万事屋へと着いていた。
太陽はまだ完全に沈みきっていないものの、辺りは暗くなり始めていた。下から家を見上げてみるが、まだ部屋の灯りが着いている様子は無く銀時達が帰ってくるまでに急いでご飯を作らなければと、せっせと階段を駆け上がる。
『定春ただいま〜!』
定春「ワン!」
天音の声に気付き真っ暗な部屋の奥から定春が玄関に走ってくる。定春は天音に飛び付き、その重さに耐えきれず床に倒れ込む。倒れ込んだ天音の顔をひたすら舐め続ける定春。勿論、身動きは取れない。
『定春〜!喜んでくれるのは嬉しいけどこのままじゃ動けないよー!』
そう言って定春に退いてもらい部屋の灯りをつけ一先ずエサ箱にエサを入れると忙しなく台所へ向かう。手際良く米を洗い炊飯器にセットし、冷蔵庫と数分睨めっこをし野菜や肉を取り出し慣れた手つきで包丁を入れていく。
そして何とか銀時達が帰宅する前に晩ご飯を用意する事が出来た。ホッとした瞬間、玄関が開く音が聞こえ聞きなれた声が薄らながら聞こえてきた。天音は一息着くことも無く玄関へと小走りで向かった。
『みんなおかえりなさい!ご飯出来てますよ。』
銀時「ただいま〜さすが出来た子は違うね〜。」
新八「今日も一段といい匂いですね、毎日毎日ありがとうございます!」
神楽「ただいまヨ〜!!飯アル〜!!!」
銀時達の顔を見ればさっきまでの負の感情の居場所など無くなるくらいに天音の心は幸せに満ち溢れた。