第19章 男の嫉妬ほど見苦しいものは無い
その女性は高杉さんの方を見てから物凄い勢いで私に視線を移し凄まじい形相で睨みを利かせてきた。まるでドシドシと音を立てるかのように私に近付いては更にキツく睨まれた。金髪頭で片方で髪を縛り露出度の高い着物を着たその子は、私にとってギャルかヤンキーのどちらかとしか思えなかった。
な、なに、私今からボコボコにされるのかな。
「なんなんスかアンタ!誰なんスか!気安く晋助様に近付くな!!」
『え、あ、いや、あの、近付くなと言われましても…私はここに連れて来られただけでして…』
「はァ!?何言い訳してんスか!見苦しいにも程があるッス!!」
頑なに否定する私の言葉に聞く耳すら持ってくれず埒が明かない。こちらからすれば勘違いにも程がある。それに近付いてきていたのは高杉さんの方、決して私じゃない。そして次から次へと船の一室に私の知らない人達が溢れかえる。
「晋助、申し訳ないでござる。口を滑らせてしまった。」
「おやおや晋助殿。こんな可愛らしい女子を連れ込むなんて羨ましい限りですねぇ。」
…だ、だれーーー!?
一気に人が増え過ぎて私の頭が付いていかないよ!
銀さんや神楽ちゃんも充分個性溢れてるけど、ここの人達も負けてないよねコレ!
も、もうヤダ…帰りたい…疲れる…。