第7章 何事も経験あるのみ
嬉しいのは事実。
だけどやっぱり信じられないのも事実。
私の一体何処を好きになったのか全然分からない。
特別可愛いわけでも、スタイルがいいわけでもない。
話上手でも、聞き上手でもない。
ほんとに何処にでもいるTHE・普通の女。
私はそんなことを考えながら着物を脱ぎ湯船に足を入れる。
「でもやっぱり銀さんが一番よくわからないや。」
『相手の事をもっと知りたいとか、もっと一緒にいたいとか、そんな些細なものよ。』
ふと脳裏にさっきのお妙さんが言ってた言葉ば浮かぶ。
「ちっ違う違うっ!」
なんで今この言葉が過ぎったのか分からなかったけど
とりあえず恥ずかしさを消すために浮かんだその言葉を頭を振ってどこかへ飛ばした。
「…そ、そんなんじゃないもん。」
結局飛ばしたはずのその言葉はしつこく私の脳裏に入り込んできて、ずっと離れてくれなかった。