第53章 1日目 《MC》 1
二宮視点
『 Love Love for you 』
ゆっくりゼロ地点に降りていくステージ。
はぁ
大きく息をはきだす。
(生身に戻ったけど ほどんど 器により語ったまま)
浜地に投げ上げられ、器と意識が融合していっても、本調子にならなかった。
翔さんの「整列っ!」の声に意識がはっとする。
手招きする翔くんに近づいて『嵐でーす』と叫び 頭を下げたり 手を振ったり 挨拶をする。
(ああ… 体が 痛い… )
A『アロハー』
翔さんの隣でバカに元気な相葉さん。
A『アロハっっ??』
相葉さんの発音が疑問形になる。
観客席から笑いが起こる。
(ああ、ここは何か かき混ぜないと…)
『相葉さん アロハ言うくせに…』
指を下に向けて ココという仕草をする。
A『はい…』
肩を窄まして立つ相葉くん。
『本場のアロハにビビリますよね?』
ニヤッと笑って見上げた。
A『だってこの近距離でアロハー!ってきたらびっくりするじゃん!
本場のアロハは、この辺で見ると本当に凄いんだから』
突っ込んでくる相葉さん。
『そうだね』(ああ そんなに近づかないで)
ヒラヒラ手を振って離れる。
(貴方に 今の 私の状態を見られたくありません…)
翔さんが相葉さんと話している
大野さんと松本さんが話している
(ああ もう 立ってるだけで汗が出る…)
S『二宮さん、ここまでどうですか?』
翔さんが俺を呼ぶ。
「いやぁぁぁ 暑いっ!」
思いっきり声を出さないと ここに来てもらった人や貴賓の方々に失礼だ。
相葉さんが 目を見開いて俺を見ている。
(ああ 貴方 今 気づいたのね…)
『俺なんかさぁ、酔っぱらってるみたいに赤くなっちゃってさぁ』
へへっと笑った。
S『そうそうそう!顔が赤いからっ』
早口で俺の方に近づいて来る翔さん。
『これ、どうしたらいいの? 』
顔の汗をぬぐいながら言う。
M『お酒飲んでいるわけじゃないですよね?』
潤くんが確認しに来た。
『飲んでいるわけないじゃ!』
コントのように話を進める。
S『体の中から暑いんじゃないの?』
衣装を抓んでパタパタして見せる。
暑い? いや もう 痛いからわかんないよ