第49章 嵐 コンサート 起動!!
〝PIKA★★NCHI DOUBLE〟のイントロが流れ出すと、ゆっくり台が高さを変えるために降り始まる。
翔さんのタイミングとドラムのビートで俺たちは動きだす。
『 見慣れた街なみ いつもの仲間が 離れてくなんて 旅だってゆくなんて』
M『 自分を探して 孤独に怯えて 共に過ごした 最高の退屈な日々』
ダンスのパートになって足が上がらない
(もうすこし もう少し ガンバレ 足…)
O「…ヤベーな…」
大野さんのボヤく声が聞こえた。
「どうしました?」
踊りながら声をかける。
O「年だなぁ…」
振りはそのままで顔を向け返事をくれた。
「へ?」
O「体が…動かねー」
困った顔の大野さん。
(ああ…年取ったって事ね わかります)
『 限られた愛と時間を 両手に抱きしめる せめて今日だけは 消えないで』
翔さんの歌を中心に俺たちが寄って行く。
O『 まだまだだ
S『 俺が止まる所じゃないから
M『 浅はかな
S『 青い想いを 抱いていたのか
A『 あかさたな
S『 習った頃から10年以上か…
『 若過ぎた
S『「このまま ずっと」なんて考え
A『 動き始めた列車の中に いつでも君はいるから
S『 あの時 あの場所で また会えるかなぁ
M「 信じ続けた瞳の奥に いつでも 僕はいるかな
『 海辺に 咲いた花のように 逞しく
O『 ずっと このまま 光よ 僕らの未来 照らして
『 高く舞い上がれ
五人で声を揃えて大きく手を伸ばす。
『 終わったはずのユメがまだ ボクらの背中に迫る
刻まれた想い出が サワギダス
限られた愛とジカンを 両手に抱きしめる
せめて今日だけはキエナイデ
止まった時間は夕暮れ 僕らの未来をテラス
二度と戻れない夜の中で
いつまでも語り続ける トワとキボウの歌を
たとえイマだけと 分かっていても』
S『 動き続けた長針と短針は
振り返ってみると いやに短期間
あかさたな 習った頃からイマ
俺ら若過ぎた ただ若過ぎた』
桟敷間に座る猴の方を向いて口角を上げる。
(猴…楽しんでるか…)
中央の台の中に下がって一時退場。