第102章 古い古い願いと今の感情

二宮視点

拳と拳をぶつける事　俺たちが記憶を共有した時からの仲直りの合図。


　ゆっくり立ち上がってくれる潤くん。


（潤くん…
　あなたが私を　許さなくても　私はあなたを守ります
　だって　そうしないと　俺は俺を許せない…

　おっとウィスパーの効果まだ続いてるから　あまり　感情を高めてはいけませんね…）


潤くんから少し離れて首筋を摩っているマー君の方に行く。


（甘噛み…久しぶりだったかなぁ）





Ａ「ねー…」
　近づくと蚊の鳴くような声でまーくんが話しかけてきた。

Ａ「俺　潤ちゃんになんかしたかなぁ？」
　絞り出すような声でいう。

（何か？多分　その黒い塊の事だと思うけど…）
「さー
　私も潤くんではないので、何にイラついてるのか　わかりませんが、八つ当たりの類ですよ　ご愁傷様」
ペコッと頭を下げる。

Ａ「えぇぇーー」
　納得いかねーっと変換できそうな叫び声をあげるまーくん。


（ソイツ　俺が調べようとすると、いなくなるし…
　なんなのか、わからないうちは、発言は避けます）


　噛みつかれた所を触りながらスンっと鼻を鳴らすマー君。

（うーん　ここでのダメージは、良くないよね

　よし！　とーても優しいニノちゃんが）
「特別に回復してあげます　ほら　かがんで？」
掌を下に向け　上下に動かす。


Ａ「こう？」
　マー君が首をかしげながら中腰になる。


「そうそう」
マー君の体に近づき「よしよし」と頭を撫ぜる。


　マー君の目だけが見え上げて来る。

「ふふ　いい子　いい子」
頭を撫ぜ続ける。

　パァーっと顔色が良くなるマー君。


（ほんと　回復には力を使わなくて済むから　楽ですよ）



Ｓ「どしたの？」
　翔さんが走ってきた。

「え？回復中です」
マーくんの頭をグイグイ押し付ける。

Ｓ「回復？」
　それが？みないな顔をする翔さん。


Ａ「翔ちゃん！！」
　マー君が両手を広げて翔さんに飛びつく。


Ｓ「うわ！どうしたのよ」
　受け止め　よろめく翔さん。

Ａ「潤ちゃんに噛まれたの　でも　ケンカじゃなくて　八つ当たりだった！！でもね　カズが　いい子って撫ぜてくれて！」
　息継ぎなしで翔さんに話しかけるマーくん。

Ｓ「は？」
　額にシワを寄せる翔さん。

（息継ぎしなさいよ）