第73章 魂の宴　食べて飲んで　話して

大野視点

≪もっと　お酒！≫
ニノの命令が聞こえた。


（おいおい。ここで“声”使うと翔くんがぁ）

　俺の為に料理を取りに行っていた翔くんが走りながら≪『翔』の名で訂正…≫と言の葉を使っていた。

翔くんの≪言の葉≫嵐の中では効果抜群。


　ニノの≪言の葉≫でかなりの勢いで満たされたお酒が、グラスの淵でこぼれずに止まった。

（ふう）と唇が動く翔くんが走るのを止めて歩いて帰って来た。


「おかえり　たぶん大丈夫だよ？」
翔くんに声を掛けるけど、返事がない。



Ｓ「だれか、水を！」
　まだ、安心できていない翔くんが小さき霊たちに声を掛ける。

　霊が木製のボールを差し出した。

翔くんの眉がピクッと動く。


（もう！そんな事で、キレないで！落ち着けよ！）

「飲みたいんだ。グラスにしてくれる？」
優しく小さき霊に言う。

　小さき霊が縦に頭を動かして、グラスを差し出す。


　そのグラスをうけとった翔くんは「雅紀！」と叫ぶ。


　相葉ちゃんは、パッと向き、素早く取りに来て、持って行った。

（ニノの事になると、やっぱ早いな…）


Ａ「カズ。こっコレ飲んで！」
　グラスをニノに差し出す。


Ｎ「これなに？水？」
　怪訝そうなニノ。


（大丈夫だよ　精霊が用意した『ただの水』だよ）


Ａ「み　水？水だよね？だよね？」
　渡したグラスを少し上げ確認してきた相葉ちゃん。


（そうそう　水！水！）
手をヒラヒラさせて飲むように進める。


　警戒しながらも、ゆっくり飲みほし「ふー」大きく息を吐いたニノ。


Ａ「かずぅ　大丈夫？」
　その息まで心配する相葉ちゃん。


（大事にされてるなぁ…）

二人が仲良しな所、大好きで嬉しくなった。


Ｎ「もう大丈夫…」
　雅紀の肩をポンポンと叩いて雅紀と距離を取る。

（え？）

Ｎ「ありがとう　翔ちゃん♡」
　全力疾走で、ニノが翔くんに抱き付いた。


　うっっと声を上げただけの翔くん。


Ａ「えーーーー」
　相葉ちゃんが両手を頬に当て叫んだ。


「えーーー」
（なんで？なんで　翔ちゃんに来るの？

　ふっつう　お礼は相葉ちゃんに言うでしょ？

　それに、翔くんも待ってましたみたいな顔しないでよ！！）