第71章 魂の宴

櫻井視点

グラスのお酒を口にしようとした時「『乾杯』はしたいな…」っと潤が呟く。



（乾杯か…確かに…）

智くんの方を向く。


Ｏ「じゃ…小さく『乾杯』する？」
　智くんが潤のグラスに自分のグラスを近づけていく。



「そうだね」
俺もグラスを潤のグラスに近づける。

Ｎ「日本人ですし」
　和也もグラスを近づける。


Ａ「では　では♡」
　笑顔の雅紀がタイミングを取る。


　　チン


五つのグラスをほんの少しだけ当たる。


　シャンパングラスやワイングラスのような薄いグラスを当てるのは、グラスの為にも、マナー的にもしないほうが良い。


　でも、日本人はこの『チン』と言う音が好きだ


グラスの液体を口にする。


　シュワっと気泡が口の中に広がる。
（スパーリングワインだなぁ　原料は何だろう…）

口の中に広がる果糖の味わいから、今まで飲んだお酒の何に近いかを考えている。


Ａ「おいしい…お酒？なのかな？だよね？」

Ｍ「ビジュアルはジャンパンだけど…」

Ｎ「味は、果物だよね？」



「そうだね。
　このスパーリングワインは、きっと人界にある果物じゃないかもな」（今は宴の酒でいいか）
残っている液体をグビっと飲み干す。


Ａ「美味しいシャンパンだね♡」
　雅紀がおいしそうに飲みほす。

「雅紀。これはシャンパンじゃないぞ？」

Ａ「え？そうなの？」

「シャンパンは、フランス・シャンパーニュ地方で造られる葡萄品種の『シャルドネ』『ピノ・ノワール』『ピノ・ムニエ』の3種類からブレントして造られるスパーリングワインのこと！」

※スパークリングワインとは発泡性ワイン(泡の出るワイン)の総称

　雅紀がホーッと言った顔で俺を見ている。


Ｎ「翔さん？ここでそれ要ります？」
　和也が豪快に食事を楽しむ精霊様の方を指さす。


「いや、間違いは早めに訂正して思っちゃって、癖って怖いね　ごめんね？」
場違いな行動を笑って謝る。


Ａ「ううん　勉強になったよ　ありがとう翔ちゃん！！」

「ホント？良かった　また何かわかんない事あったら聞いて？調べとくから…」


Ａ「うん。うん。お知らせする」
　わたわた手を振る雅紀。


（雅紀に気を使わせてしまった…）