第64章 虹の道を歩きながら
松本視点
(さっきは ものすごく 自分がいる事にドキドキも した
でも 今はそんな感情が出てこない)
チラッと翔くんの表情を盗み見る。
翔くんは柔らかな表情で智さんを見ていた。
智さんも翔くんに負けないくらいの柔らかい表情をしている。
(あぁ やっぱり…ここでは素になるんだね…
おかしいなぁ
いつもの あの感情が湧いてこない…
もしかしたら智さんの“静止”が俺にも効いているのかもしれない…)
N「翔さん?何考えているんですか?」
ニノがストレートな質問を翔さんに言う。
(何考えてる?)
ニノの質問の意味が分からないから、翔くんをちゃんと見る。
少し、目を伏せる翔くん。
(伏せた?照れたんじゃないなぁ
何か他の事を考えていた? それをニノは気づいた?)
翔くんの動きを見て ニノを見る。
ニノが心配そうな目で翔くんを見ている。
(あんな顔をするってことは、翔くんの頭の中で何か煮詰めていたんだなぁ)
S「みんな… あの時 何か言葉 貰ったでしょ?」
翔くんが考えていた事を俺たちにわかるように言葉にし始めた。
S「どんな こ…」
言葉を飲み込む翔くん。
S「どんな感じだったのかなって、考えてた」
翔さんが微笑みながら言う。
(そうやって、話を分かりやすくするクセ 俺の所為でしょ?
翔くんの言葉なら、どんな言葉でもいいんだよ。
俺がそこに追いつくから…)
A「うー…いろいろぉ…」
相葉くんが少しだけ 大人びた目をして 空を見上げた。
「え? 相葉くん なに考えていたの?」
相葉くんの頬をつつきながら言う。
(そんな顔してほしくないぁ 天真爛漫な笑顔の相葉くんでいてほしい…)
A「俺だって、考え事ぐらいするよ」
ちょっと 膨れた顔をした相葉くんが俺の指を掴んだ。
(お!物理的反撃にでますか?)
A「ね♡ 大ちゃん♪」
指を掴んだまま、リーダーに話しかける。
O「そうだぞ!
雅紀だってちゃんと頭働いてるんだから!!」
リーダーが人差し指で自分の頭をトントンしている。
その行動を見た相葉くんが うんうんと嬉しそうに頭を縦に振っている。