第63章 ゆらゆら　移動

松本視点

Ｎ「はい…」
　ニノのテンションがゆっくり落ち着いて行く。


（今の“静止声”だったよね？
　ソレがいるほどニノが暴走しそうだったの？）


言葉に出さず、リーダーを見つめていると、『ん？』っというような顔をしたリーダーがこっちに顔を向ける。

（もしかして…まんま意味の『もういいよ』だった？）


　目をパチパチさせながら、俺と翔さんを交互に見て、不安そうな顔になっていくリーダー。


（あーー　マジですか…ビビらさないでぇ）


Ａ「大ちゃん　カズを怒らないで！！」
　相葉くんが慌ててリーダーの方に飛んでいく。



　翔さんに抱きしめられているリーダーに「大ちゃんの低い声　こゎぁい」と泣きそうな声ですり寄る相葉くん。

Ｏ「えー」
　困った顔をするリーダー。

「お前がそれ言うなよ！ニノのヒートアップさせたのは、お前の行動だぞ！」
文句言いながら相葉くんに近づく。


Ｓ「俺もそう思う！！」
　翔さんもリーダーを抱きしめながら言う。


（翔さんもいつまで　抱きしめてるのさ…別にいいけど…）


Ａ「…すんません」
　肩を窄めて頭を下げる相葉くん。



｛進みますよろしいですか？｝
メネフネの民が声をかけてきた。



Ｏ「ああ　ごめんね」
　翔くんから離れて一番にメネフネの虹に飛び乗るリーダー。

　翔さんはニコニコ笑いながらついて行く。

俺も続いてメネフネの虹に戻る。



｛進みます｝
メネフネの民が矢を一本　放った。

　虹がその矢の弧を追うように伸びていく。


Ｏ「宴へ行こう🎶」
　リーダーの掛け声で新しい虹をゆっくり歩き出す。


（歩幅はあっているのに、なぜか　どこか　違和感がある…）



Ｓ「あ！」
　翔くんが大きな声を出す。


（今度は　なに！）

　みんなが翔くんを見る。


ふふっと笑った翔くんが「見てみて！」と、足元を指差している。


　虹の下の“俺たち”が見えた。


（あぁ　頭にハイビスカスを付けてる…）



Ａ「なんか…変は感じ…」
　相葉くんが小さく呟く。

Ｎ「自分を自分で見ると言うのは…確かに変ですね」
　落ち着いたニノも相葉くんと同じように呟く。


「収録のＶ見ている感じ　じゃないしな…」


“ヴィトー”に乗り込むメンバーを不思議な気持ちで見ていた。