第62章 それぞれの 力を持って
櫻井視点
(智くん…
なにか心配事?
あなたは一人で すべてを見通してしまう…
お願いだから
俺や みんなに もっと 甘えて…)
N「『だって』じゃねぇ!
時間軸が安定していない『ココ』で『メネフネの導き』がない
『人の魂』はドコに流されるか!分かっているのか!」
ものすごい剣幕でまくし立てる和也。
A「ぁぁ ぅん…」
両手の人差し指をクルクル回してシュンと下を向く雅紀。
(確かに『ココ』はそんな所だけど、雅紀の羽があれば…)
A「そんなに怒らないでよぉ」
泣きそうな声でニノに言い返そうとする雅紀。
N「おまえがバカな事しなけりゃ 俺がこんな事言わなくて済む!」
感情がおさまらない和也。
「ああぁ 和也の 感情の塞きが、はずれたねぇ」
智くんの躰を支えながら二人を見ている。
O「そうだね…」
智くんも二人の行動を見ている。
A「大ちゃんに笑っててほしくてぇ…」
泣きそうな声でニノに言い返そうとする相葉くん。
N「笑い取りに行くなら、他のやりぃ方っつうもんがあるだろぉ」
たたみ掛ける和也。
本気でシュンとなる雅紀。
(まったく この二人はどっちが年上か分からなくなる
でも そろそろ フォローをいれないと
〔ニノの反省〕が長くなる…
さて 何って言ぉうかなぁ…)
O「和也」
《もういいよ》
智くんの“静止声”が響く。
(え……)
この声は、嵐の全員が一瞬で静かになる。
気持ちの焦りや堂々巡りの負のスパイダルを一気に静止することができる。
N「はい…」
和也のテンションがゆっくり落ち着いて行く。
(確かに…その言葉なら、落ち着くけど…いろんな意味に取れるよ)
智くんの顔を見つめる。
『ん?』っというような顔の智くん。
(無自覚ですね はい そうでしょうね 了解です)
ふうと一つ息を吐く。
智くんが目をパチパチさせながら、俺と潤を交互に見て、不安そうな顔になっていく。
(あとで ちゃんとフォローしますから、変に混ぜないでください)
不安そうな智くんを強く抱きしめる。