第44章 石畳で

二宮視点

大好きな二人の手をつないだ状態で、潤くんとマー君の会話を聞いていた、急に翔さんの脈が速くなった。


（翔さん？どうしたの？）
翔さんを確認すると、意識が違う所に向いていて、一人で動き出そうとした。

（ちょっと！どこ行こうってのよ！）


Ｓ「ニノ　離して…」
　俺の手を離そうとする、翔さんの目から不安と焦りが見える。

翔さんが見ていた方を確認すると、誰もいない東屋が見えた。


（大野さん探してるの？ここに居ますよ？）

　ついさっき、大野さんが音もなく近づいて、踞(しゃが)んだばかりだ。

　周りが見えていないのか、翔さんは俺の手を外そうと力が入る。

（やだよ！
　今のあなたを離したら、俺たち置いて行っちゃうじゃん！！）
翔さんの手をキュッと握り直す。


《もぉ！ハナセよ》
　翔さんがイラッとした顔で“令”を口にした。


（俺に“令”使うって！ちゃんと、周りを見てよ！）
目だけで合図を出す。


　素直に合図に従う翔さんが、大野さんを見て、ビックリしたような声で「なに？」と言った。

　大野さんもゆっくり顔を上げ翔さんを見上げた。


（はぁ　よかった）
二人がキチンと顔を　目を合わせる事が出来た。



Ｓ「なんかついてる？」
　手を確認している翔さん。


（え゛　ちょっと、なに言って…）


Ｏ「そ、そうじゃないけど…」
　口が少し開いたまま、ゆっくり翔さんの手を追っかける大野さん。


　クスッと笑う翔さんが「こっちが空いてますけど？」と、左手をヒラヒラさせる。


（出た、天然発言…

　でも、脈動が落ち着きましたね
　いい兆候と捉えてます

　がぁ　天然キャラが増えると私の負担が増えるんですよ

　知的キャラを維持してほしいなぁ）



Ｏ「繋いでいい？」
　大野さんが潤くんに許可を求める。


（大野さんは、大野さんで
　まだ…あの約束…気にしてるの？…もう、いいんじゃないの？）


Ｓ「もちろん。俺は構わないよ」
　翔さんが潤くんの返事より先に、大野さんの手を笑顔で取った。

　潤くんも笑っている。


（ほらね♪

　心配はいりません

　だって　我々はどんな柵(しがらみ)よりも絡み合ってますから🎶）