第29章 飲みが進む
相葉視点
ペットボトルを抱えて戻ってくると、
N「そんなにいっぺんに持ってこなくても…」
額にシワが寄っていて困ったような顔のカズが待っていた。
(みんなで飲んだら、このくらい入るって!)
「大丈夫。氷バケツに突っ込むから!!」
ワゴンの下の段のバケツを指さす。
M「翔さん ストレート。俺とリーダーはロックね」
潤ちゃんがニコニコの顔でオーダーをくれた。
ボトルとグラスを目の前に並べる。
「翔ちゃん。グラスが大きいから。ダブル位入れてもいい?」
ロックグラスを翔ちゃんに見せる。
S「お任せします」
にっこり笑顔で答える翔ちゃん。
「かしこまりました♡」
ボトルの栓を開けて、ロックグラスをもつ。
(あ…グラス)
今気が付いた。
グラスが冷えていない。
(ここの冷蔵庫には、そんなのはなかった…)
カンターの下にある専用の冷蔵庫でキンキンに冷えたモノを使うのが鉄則
(常温のグラス使ったって聞いたら協会の人に怒るかな…)
ドラマの時、指導をしてくれた社団法人 日本バーテンダー協会の怖い人の顔を思いだす。
(ま。いいか。メンバーと家飲み?部屋飲みだもんね。アバウトで…)
俺はロックグラスに大体60ml?位の量を注ぐ。
(なんか…少ない…ような気がする…やっぱメジャーカップ欲しい…
でも、ここは、カッコつけないとね♬)
「はい。翔ちゃんのストレート」
バーテン模様の口調でがグラスを滑らすように渡す。
S「ありがとう!」
そのキャラに合わせて、スマートに受け取る翔ちゃん。
(ほら!翔ちゃんは乗ってくれる!!
あ!カズ勝手にトワイスアップに氷入れてる!
それじゃ、バランス悪い水割りになるじゃん…)
「まって!」
N「入れちゃダメだった?」
二つぐらい氷入れたあたりで、カズの手が止まる。
「ダメじゃ、無いけど…」
目の前のトワイスアップのグラスを見た。
(結局一緒か…)
グラスに氷を入れ、氷バケツから引き出した冷えてる水を注ぎ、マドラーでよく混ぜて、カズに渡す。
「はい。水割りできたよ」
N「あ…どうも…」
両手で受け取って、ちょっと困った顔をしたカズ。
(あ…大ちゃんより先にお酒貰ったの気にしてる?)