【イケメン戦国】 戦国武将へのサプライズ<R18>
第10章 ~家康´~
なおの顔の横、壁に腕をつき囲い込む。
光秀「よかったな」
覗き込むようにして、光秀が美しく整った顔を近づける。
「あ、ありがと・・・ございます」
逃げ場がなく、ただ目を伏せてそう答えた。
光秀「祝いの品は後日改めて贈ろう。今日はこれで我慢しろ」
目の前に差し出す。
「・・・蜜柑」
光秀「家臣に聞いた。その者の妻は終始気分が悪く、食事もままならない状態だったが、これは喜んだと」
なおの掌にそっと乗せ、
光秀「食べられそうか?」
いつもは本心を覆い隠す光秀の表情に、今はほんの少しだけ心配の色が見える。
「ありがとうございます、光秀さん」
顔に近づけ、香りを吸い込む。
「いい匂い・・・少し気分がよくなりました」
その笑顔に、光秀の胸が淡く揺れる。
光秀「どうせ皆遅くまで騒ぎ続けるのだろう。辛いなら、部屋まで送るが」
「いいえ、大丈夫です。折角光秀さんも来て下さったんですから、もう少し居ます」
光秀「そうか・・・」
なおの肩に手をかけると、
光秀「無理はするな」
そっと支えるように背中に腕を回し、広間へと向かう。
なおが家康の元で暮らすことを選んだ時、あいつらの反応は滑稽で笑えた。
子を宿したとなると、その時以上に可笑しなことになるだろう。
・・・まぁ、俺も例外ではないが。
光秀「全く・・・大した女だな、お前は」
なおに聞こえないよう、小さく呟いた。