【イケメン戦国】 戦国武将へのサプライズ<R18>
第10章 ~家康´~
佐助「おめでとう、なおさん」
眼鏡の奥の瞳が揺れる。
佐助「なおさんが、徳川家康の子を・・・」
中を透視する勢いで、熱い眼差しをなおの腹部に向ける。
「ありがとう、佐助君」
興奮する佐助とは対照的に、なおは穏やかに微笑む。
佐助「これから大変だ」
「うん。でも今はお腹が大きいわけでもないし、あまり実感が無いんだよね。 ・・・出産ってどんな感じかな。すごく痛いよね?」
佐助「俺もまだ産んだことはないから、その辺はわからないけど」
(・・・まだ?)
佐助「そういう意味じゃなくてね」
手にした湯呑を置くと、期待をはらんだ瞳でなおを見つめる。
佐助「徳川家康には16人の子供がいたんだ。なおさんはその任を一手に引き受けたってことになるよね」
「えっ!? 熱っ!!」
動揺のあまり、湯呑をひっくり返す。
佐助「まだ若いからきっと大丈夫。頑張って、なおさん」
「無理無理、無理だよっ!」
二人して手拭いで畳を拭く。
佐助「友人が、尊敬する徳川家康の子を産むなんて・・・俺は今、最高にテンションあがってる」
無表情で拳を握ると、
佐助「とにかく頑張ろう。俺も協力するから」
拳を突き合わせようと、なおに向ける。
家康「協力って何。子作りに協力するって意味?」
「家康っ!?」
佐助「あ・・・お邪魔してます。家康さん」
ハイテンションのせいで家康が来ることに気付かなかったのか、なおの部屋でついに鉢合わせてしまった。
「あの、勝手にごめんね?でも私にとっては大事な友人だから・・・」
家康「わかってるけど、近頃なおに会いに来過ぎ」
佐助「あ、気づいてました?」
家康「当然だろ」
慌てるどころか、崇拝するような目で家康を見上げる佐助に、
家康「子作りのことは放っておいてくれる。あんたには関係ないことだから」
背を向けて、部屋を出る間際でふと足を止め、
家康「佐助はなおにとって大事な友人だから、たまには遊びにきてやって。なおも喜ぶから。・・・たまに、だからね」
佐助「嬉しい」
襖が閉まると、佐助が恍惚とした表情で呟く。
佐助「名前を呼んでもらえた・・・」
(えっ、 そっち!?)