【イケメン戦国】 戦国武将へのサプライズ<R18>
第7章 ~三成~
三成「・・・」
「・・・」
三成の馬に、花見に向かうときと同じように乗せられている。
往路と全く同じ状況だというのに、明らかに様子が異なった。
三成「・・・」
散々酒を飲み、騒ぎ疲れた武将達は、近場にある織田軍傘下の小国で一夜を過ごし、朝になってから城への帰路に就くことにした。
穏やかな日差しの中、先に行く武将達は時折言葉を交わしながら馬を進めている。
「三成君、二日酔い?」
三成「いいえ、私はそこまでお酒をいただきませんでしたから」
「そう・・・」
なおの背と三成の間にあるほんの少しの空間が、冷たく余所余所しい気配に満ちている。
「なんか・・・怒ってる?」
三成「怒る?なぜですか?」
「う・・・なんとなく、だけど」
花見に向かう道中では、あれこれと他愛ない話をし、笑い、それは楽しい時間だった。だというのに、何故今は・・・
あまりの気まずさにそれ以上声をかけられず、なおは景色へと目を向ける。遠くに連なる山々は、朝の陽ざしを受けて美しく輝く。
・・・それ以上に、背中が、やはり気になる。
三成「なお様」
今度は三成から声をかけられ、思わず背筋を伸ばした。
「ん?」
三成「なお様は・・・昨日の花見は楽しめましたか?」
「うん。普段からみんなには良くしてもらっているけど、安土で過ごす時とはまた違って、本当に楽しかった」
三成「そうですか」
「・・・今日、変だね、三成君」
思えば昨晩から、三成の笑顔を見ていない。普段ならどんな時でもなおに対しては笑顔で接してくれる彼だが、今の表情は天使とは程遠い。
穏やかな風に、鳥のさえずり、そして馬の足音。
三成「申し訳ありません、なお様」
その言葉に、首を傾げるように、少しだけ振り返る。
「何が・・・?」
三成「私がこんな態度では、なお様に安土までの道を楽しんでいただくことは出来ませんよね」
なおの前で手綱を操る三成の手が、僅かに強く握られる。そして、
三成「なお様、失礼します」
その片方が、なおの体を抱き寄せた。