【イケメン戦国】 戦国武将へのサプライズ<R18>
第6章 ~光秀~
なおと政宗が、朝から台所を忙しく走り回る。
政宗「そっちの鍋かき混ぜてくれ。焦がすなよ」
「わかってるって、大丈夫」
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政宗「今度は紅葉でも見に行くか」
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あの花見から二つ季節が変わった。
政宗があの時と同じようになおを誘い、なおが皆に話して回り、今日がその日。
政宗は“おべんとう”作りを手伝わせながら、
政宗「これ、味見しろ」
「わ・・・美味しい」
政宗「これくらい薄味でいいんだ。この塩加減、覚えておけよ」
なおにあれこれと教えてくれる。
光秀「なお」
二人が同時に振り向く。
政宗「なんだよ、光秀」
折角なおと楽しんでいたのに。ここ最近なおは不在にすることが多く、だから、久しぶりにこいつを捕まえたというのに、光秀の奴。
この後皆で出かければ、なおを独占することは不可能に近いのだから、
政宗「邪魔するなよ」
光秀「邪魔をするつもりはない。なお、それが済んだら俺の部屋へ来い」
「わかりました」
それだけ伝え、光秀はさっさと台所を後にした。
(あれ、光秀さん今日ちょっと・・・機嫌いい?)
しかし、それは表に出さず、なおは淡々とお弁当を仕上げていく。
なおと光秀の関係は相変わらずで、互いに暇を作っては“悪い事をする部屋”で落ち合い、二人だけの時間を重ねてきた。
無機質だった部屋に、いつの間にかお茶の道具や小さな灯りが置かれ、夢中になって話し、笑い、身体を求め合った。
話をするのは専らなおで、特に光秀は、500年先の日本の話が好きだった。俄かに信じ難い内容でも、ころころ表情を変え、うまく伝えようと懸命になるなおに、ただ頷き、微笑んでいた。
光秀がなおに対して愛の言葉を口にすることは一度もなく、なおも言葉にすることはなかったが、二人の想いは確かなものだった。
支度を済ませたなおが、光秀の部屋へと廊下を進む。
(部屋に呼びつけるのって、珍しいな。なんだろう)