【イケメン戦国】 戦国武将へのサプライズ<R18>
第5章 ~コノハナサクヤヒメ~<裏なし>
庭に咲き誇る梅の木を眺めながら、湯呑を口に運ぶ。
「あったかい・・・」
時折吹く春風に、ふわりと舞う花弁を目で追いかける。
政宗「なお、何してるんだ?」
やって来た政宗が、なおの横に腰を下ろした。
「お針子の仕事の合間に、ちょっとお花見」
政宗「相変わらず呑気だな、お前は」
なおの手から湯呑を奪い、政宗も口をつける。
「もうすぐ桜も咲くよね。この近くで、桜がきれいな所、ある?」
政宗「近くはないが、あるにはある」
「お花見したいな・・・」
政宗(いい顔するな、こいつ)
梅を眺めるなおの横顔に、政宗の胸が僅かに音を立てる。
政宗「連れてってやろうか」
「えっ、本当?」
期待と喜びに目を見開くなおに、政宗はただ頷く。
その唇を今すぐ奪ってしまいたい。口づけたら、こいつはどんな顔をするだろうか。
「じゃあ、お弁当持って行こう! 何入れようかな・・・」
政宗「おべんとう?」
「あ、えーと・・・重箱に美味しい料理を詰めて、持って行きます」
政宗「なら俺の仕事だな。お前の好きなもの、たくさん作ってやる」
自分の作った料理を美味しそうに食べるなおの表情が目に浮かび、政宗も自然と笑みをこぼした。
「みんなにも聞いておくね」
政宗「・・・みんな?」
「うん。いつ行くか、それから好きな食べ物も。信長様はお酒でしょ。家康は辛ければいいのかな?三成君は・・・」
政宗「やめた」
「は・・・?」
桜の下で、なおと二人で過ごす光景を思い浮かべていた。花が咲くように微笑み、花が霞むほどに眩しいなおの姿を。
二人きりでないのなら、
政宗「またな」
立ち上がると、その場を後にする。
「待って、 待ってよ政宗っ」
なぜか気が変わってしまった政宗の背中を、なおは慌てて追いかけた。