第11章 涙
彼はそんな彼女を見て
嬉しそうに微笑んで迎えたのだ
私の胸は大きく痛みは発した
私には見せてくれなかった
微笑みをその人には向けている
その場に私は一人立ち尽くして
去って行く二人を見ていた
いつから彼は私に
微笑んでなかっただろ?
それすら思い出せなかった・・・・
二人が見えなくなると
私は疲れたように歩き
見慣れた景色から去った
電車に揺られながら
アイドルの彼のポスターを見ていた
この彼も私に微笑んでくれているが
いつの日か微笑みが消える前に
私は去ろうと思っていた
もう二度と
こんな思いはしたくないと・・・・
もうこれ以上
誰にも迷惑かけないで
一人で生きていこうと決めたのだ
しかし心は
どん底まで落ち込んでいた
頭から
あの彼が自分以外に向けた
微笑みが消えなかったから
彼のマンションに帰ってからも
私は食欲もなく
電気も付けずに
真っ暗なリビングで過ごしていた
私は、考えていたのだ
自分の何がいけなかったから
こうなったのだろ?
あの女の人を選んだのだろと・・・・
私が答えの出ない事を
必死で導きだそうと
暗闇で考え続けていたのだ
結婚の約束までして
もう少しで
結婚だったのに・・・・
私の何がダメで
あの女の人を選んだのだろ?
私の目から涙が流れるのを
私は感情のまま流していた
そんな私が居るリビングに突然
明かりがついた
横山「うわぁ、おったんや!
寝てると思って
ブザー鳴らさんかったんや」
彼が驚いた様子でリビングに入って来た