一夜の幻【夢専用✣ハイキュー!!✣弱ペダ✣テニプリ】
第5章 キミのために出来る事全て(東堂尽八*夢)完結
赤くて今にも泣きそうで
余裕なんて一欠片もない
【皆のアイドル東堂】
とはかけ離れた面持ちに
『必死過ぎ…ヒドイ顔…
バカじゃない?』
思わずこっちも
泣きそうになってしまう
「必死になるのは当然だろう?
お前を繋ぎ止めたくて
仕方ないのだからな」
『カッコつけの
東堂らしくないじゃん…』
「お前のためならどんな
格好悪い事でもしてやる
それでオレの気持ちが伝わるのなら
格好悪い事など何て事はない」
真っ直ぐ私を見つめる
東堂に捨てなければと思っていた
期待が湧き上がる
ただ【マキちゃん】の
事も同時に思い出し
返事をしたくても声にならない
聞いても良いものか悩んでいるうちに
「スグに答えを貰えるとは
思っとらんよ
布施に俺の気持ちを
伝えたかったんだ
イキナリスマなかったな」
東堂は1人で話を進めていく
「次の日曜レースに出るのだ
インハイ前の大事なレースだ。
布施が
見にきてくれると嬉しいのだが…」
『次の日曜って明後日じゃん…』
「もっと早く言いたかったのだが…
その…勇気が出なくてな…」
東堂の顔はまだ真っ赤で
いつもの堂々とした態度は微塵もない
『…あのさ、東堂…
気持ちは嬉しいんだけど…』
思い切って
-【マキちゃん】て誰?-
と聞こうとした私の言葉を
「待て!話を聞いてなかったのか!?
希望を残させてくれと
言っただろう!?とにかく
日曜のレースまでは
考えてくれないか!?
幾ら何でもココでもう一度振られるなど
立ち直れる気がせんではないか!!」
東堂が焦って遮る
『ちょ…東堂…待って…』
「いや!待たんよ!
それはならんよ布施!
とにかく日曜待っているからな!
オレは勝つからな!」
聞く耳持たずと言った感じで
早口に言い切って
東堂は帰って行ってしまった
『…話聞かないのはどっちよ…』
行ってしまった東堂にため息が漏れる
でも、いつもの重いため息じゃない
【マキちゃん】の事は気になるし
手放しに浮かれて
いられないのは分かってても
東堂の言葉は私の心の雲を祓ってくれた