第52章 初恋苦し（北信介）完結

甘えた声に
ビクリと肩が揺れ

「えっと…そない急に言われても…」

モゴモゴ口ごもってしまう
こんな姿、宮ツインズや
角名に見られたら
めっちゃからかわれるやろな

でも…

『嫌なんですか？
呼んで欲しいのに…』

「嫌ちゃうわ」

『ほんま？ほな、どうぞ！』

「お前、タイミング悪…くもないか」

なんかそれも悪ないかもと思えて来るから
不思議やな

キラキラした顔で俺の声を待つ
その瞳を見つめて

「姫凪」

初めて名前を口にする
擽ったい様な
暖かい様な
変な感じやけど

『は、はい！』

「なんか、エエな
侑にまた一個追いついた感じするわ」

俺の顔からは笑みが溢れてる

『侑に？』

「せや、侑のが先に
お前を名前で呼んでたからな」

チラリと見せる嫉妬に

『ほな、もう一個
お願い聞いて貰おかな？』

どこか嬉しそうに笑った姫凪の

「何企んどるん？」

顔を覗き込む