第52章 初恋苦し（北信介）完結

『あの…お婆ちゃんに
教わってオヤツ作ったんです
一緒に食べましょ…？』

俺の胸に当たる
甘い声と甘い香りに
クラクラする

オヤツももちろん楽しみやけど

「ほな、遠慮なく…」

『…え、、ﾝ…？！』

ずっと我慢しとったからな

オヤツよりもきっと甘い
俺だけのモノになった
布施の味に
パクリと噛み付いた

初めて重ねた唇は
想像よりずっと柔らかく
微かに震えてる

『北さん…』

「もうアカン？
めっちゃ美味いねんけど…
もっと…食わせて？」

オドオドしてる布施が
俺の身体を押し返そうとしてるけど
俺は離れたくなくて

「なぁ？アカンのか？
応えてや…な？」

わざと耳をなぶるように
甘えた声を落とす

ブルッと震えた布施の身体
押し返す力が弱まったのを
確認して
もう一度吸い付こうとした唇が

『あ、あかん、です…』

弱々しい声で止められた

「…なんでや？」