第52章 初恋苦し（北信介）完結

多分これは早退案件やけど
このまま連れて帰るわけに行かんし
今すぐにでも寝かせるか
頭冷やしてやらなアカン

近くの治に手を貸せと
視線を移すけど

「えー…」

超絶に面倒くさそうな顔をして
俺を見下ろしてる

「いや、えーやないやろ
結構な重病人やで
早い事運んだらな…」

「オンナの一人や二人くらい
北さん一人で余裕でしょ
お姫様抱っこしたれば
スグですやん？」

お姫様…だっこ？？
いや、出来へんとは言わんけど…
それは結構勇気の要る…


「侑なら
サーッとやったやろなー…
あ、侑に運ばせますー？」

って！

「アホか。
俺がやる！」

そんなん言うてる場合やないな。

俺の声に悪い顔で
笑いながら頷く治を睨みつけ
…てる、場合でもないな。

「布施、動かすで？
辛かったら言えや」

聞こえてるとは思わんけど
熱い耳に囁いて

「撮ったらシバク」

遠くで携帯構えてる
角名に一応注意して
布施を抱き上げた