第52章 初恋苦し（北信介）完結

次の瞬間

「おい！布施！」

治の声が廊下まで響いた
慌てて教室を覗くと

「せやからそう言うてるやろがぃ！
おい！誰か手ぇ貸せ！」

布施の側で叫んでる治
布施は…
無言で机に突っ伏して動かない

「おい、治
どういうこっちゃ？」

「北さん？！
え？ここ、二年ですけど…
あぁ、話付いたんですか、侑と」

色々察した顔する治に
来た経緯を説明する余裕はなく

「そんなんどうでもエエ
なんで布施が倒れとるん？」

荒く短い息を吐く
布施の頭に触れると…

「あっつ…！
なんや？熱出とるんか？」

気のせいでは済まされへん
熱さが手のひらに伝わって

「おい、布施
聞こえるか？」

思わず顔を寄せて
意識の確認をすると

『…ｼﾇ…』

か細い声を最後に
応えは途切れた

「保健室、連れて行かなアカンな
治、すまんけど
手ぇ貸してくれ」