第52章 初恋苦し（北信介）完結

『へ？あぁ…冗談、ですよねー！
もう、からかわんといてください』

からかってへんよ
冗談やとは言うたけど
言うてへんやん
"ウソや"とは。

「スマンな。
そんな顔すなや
で？どこ行くん？」

本音を飲み込み前を向くと

『そうですねー…
なにか甘いモンでも
食べます？
あんみつが美味しい店が
近くにあるんで』

さっきオロオロしてた顔は
スッカリ無くなって
いつものニコニコ顔で
ちょっと残念な気持ちが過る

もっと色んな顔みたいな
侑に見せとるみたいな
コロコロ変わるアレを。

あと一回や
調子のんのは。

「あんみつか、エエな
布施は甘いモン好きなんか？」

『いえ、私はどっちかと言うたら
甘いより塩っぱい方が…
って！今日は御礼なんで！
北さんが好きなモンを
奢りますから！』

「ほな、俺の家来ぉへんか？
婆ちゃんが貰ろた
美味い塩せんべいがあんねん」

少しドキドキしながら
家に誘ってみたりとか
アランに知れたら
卒倒してまうんちゃうかな？