第51章 ♡陽だまりの粒（岩泉一）完結

クッソ。
泣かせる為に
バカみてぇに走って
来たわけじゃねぇのに…

「姫凪、スマン…」

俺の気持ちを伝えて
笑って欲しかったから
来たのに…

『ゴメン…泣くつもりじゃ
無かったのに…
ゴメン…困らせ…て…』

「お前が悪いわけねぇだろ
押しかけて
変な事言って悪かった」

バカみてぇだよな、マジで。

性欲の一つや二つ
ガッチリ鍵掛けとけや
盛る=好きなんて
方程式は通用しねぇんだよ

この時の失敗が
後々の俺ら二人に
影響してしまう事になるんだが
それはまぁ、また別の話で
今はとにかく

「泣くな、姫凪
いや…泣かせたの俺だけど…
その…アレだ…
もう帰るからさ」

この涙を止めないと。

そっと触る頬
濡れる指を動かし
伝ってる涙を拭って

「明日は来いよ
一緒に飯食おうぜ？
二人切りが嫌なら
及川とかも誘うから
その…アレだ…
お前の顔見ねぇと
気合い入んねぇから
試合だけじゃなくて
練習、もさ
見に来いよ
時間あるなら」

必死に言葉を紡ぐ