第51章 ♡陽だまりの粒（岩泉一）完結

「…出て来れるか？」

声だけ響かせる
インターホンに向かって話すと

『…うん、チョット待ってて
すぐ降りるから』

プツリと声が途切れた後
バタバタと慌ただしい音が
家の中で響くのが
漏れ聞こえて来る

『お待たせ！』

「相変わらず騒がしいな
もうパジャマだったのか？」

少しクセのついた髪の毛に笑いを漏らすと

『え！？違う！
あの…帰ってからダラける
生活がクセになってて
部屋が荒れてたから
ザッと片付けを…』

目を見開いて
オロオロ取り乱す姫凪
懐かしさが込み上げる

「それは部屋に誘われてるって
思って良いのか？」

思わずぐっと近付き
跳ねた髪の毛を手ぐしで直すと

『えぇ！？誘ってる！？
そんな…事…思ってない事も
なく…は、ない…けど…』

更にパニックになって
目を白黒させる

相変わらず俺のツボを
押すのが上手いと言うか
俺の欲望のスイッチを押すのが
上手いと言おうか…
全くお前は…
厄介極まりねぇよ。