第51章 ♡陽だまりの粒（岩泉一）完結

お前が言うな
お前の方が知ってんじゃねぇのかよ？
いつも俺より先に
姫凪のそばに居るのは

「…関係ねぇよ」

お前だろうがよ

何か言いたげな
花巻を振り切って
一足早く体育館を出る

行く宛なんかねぇし
姫凪の所へも行けない
そういえば明確な約束は
何もなくて

俺は姫凪の
何者でもない事を
改めて思い知らされた。

次の日もその次の日も
姫凪とはスレ違った
朝練も昼休みも放課後も
予定が合わない…事になったまま

中学最後の試合の日は
すぐ近くになっていた

「いーわちゃーん
最近張り合いがないんですけどーー」

いつもの帰り道
松川と花巻は
予定があるとかで早々に別れ
見飽きた顔が
隣で肉まんを頬張っている

「あ？ウシワカとの
試合直前に何言ってんだ
殴るぞ！」

「殴りながら言わないでよ！
岩ちゃんも最近腑抜けた顔ばっかだよ！
誤魔化せないんだからね、及川さんの目は！」

ゲンコツを落としながら叫ぶ俺に
珍しく噛み付いて来る及川