第51章 ♡陽だまりの粒（岩泉一）完結

明らかに面白がってる顔をして
こっちをみてる及川の
ケツでも蹴り上げてやろうと思った
その時

『は、はじめちゃん！オハヨ！』

同じ様な高い声でも
あの二人とは少し違う
甘さの強い声がした

チラリと視線を移すと
姫凪が立っていた

少し浮つく心
でもそれ以上にのしかかる
花巻の影

「おー」

色々問い詰めたい気持ちを抑え
一言だけ返して
背を向けると

『眠そうだね
そうだ、ドリンク…』

姫凪の気配が
また少し近付く

嬉しくないわけがない
それなのに

「悪ぃ、練習戻る」

素直に喜べない

足早にコートに戻ると

「あれ？早いじゃん
てっきり朝練終わりの
屋上デートの約束
取り付けて
ついでにイチャイチャを
見せ付けるのかと
思ってたのにさ～
岩ちゃんばっかりズルい！
及川さんも人肌こーいーしーい」

「もう約束済なんじゃねぇの～？
硬派そうな顔して
チャント男子してるからね～
岩チャンは～」

及川と松川がニヤニヤしながら
俺に絡んで来る