第51章 ♡陽だまりの粒（岩泉一）完結

メチャクチャ胸が
むしゃくしゃする

何でだよ
何で自分のだ、なんて
嘘ついた？
俺に隠したい
何かが俺が行く前に
あったからか？

大して用もない便所で
出もしないのに
フニャフニャの情けない息子を晒す

あんだけ期待してたのが
嘘みたいだ

大きく吐いた溜息に
微かに搾り出された小便
時間を激しく無駄にしたみたいで
苦笑いが漏れる

体育館に戻ったら
チャント気持ちを切り替えよう
そう思って正した背中に

「いーわいずみ！
おはよー！」

「相変わらず機嫌悪そうな顔～」

ぶつかる声

振り返ると昨日話し掛けてきた
姫凪のクラスメイト

「ねぇ、今から朝練だよね？
見に行って良いでしょ」

両隣を奪われ
甘ったるい匂いが
身体にまとわりつく

「来んな、邪魔だ
お前らバレー興味ねぇだろ」

二人の香りを躱す様に
足を早めると

「それは布施さんも
一緒じゃなーい？」

「そうそう！
誰に興味あるんだか
知らないけどさー」

後ろから意味深な声が届く