第51章 ♡陽だまりの粒（岩泉一）完結

息をするのも
忘れて続きを待つ俺の耳に

『…手、とか
繋いで歩いた事ないから
ドキドキしちゃって…』

小さな声が届く

なんだ？
今、めちゃくちゃコイツが
可愛く見えたんだけど？
つーか、なんか心臓うるさくねぇか？！

「…そ、そうか。
悪かったな、初めてが俺で…」

『全然！むしろ岩泉…くんで
嬉しいって言うか…』

「お、おぅ…そうかよ」

ほら、まただ
耳の近くに移動したみたいに
音が大きくて
また息継ぎのタイミングを見失う

息は詰まってるんだけど
試合で負けた時みたいな
苦く苦しい感じじゃなくて
上手く言えないけど
なんかこう

熱いナニカを飲み込んだみたいに
ジワジワ灼ける様に苦しい

その理由がナニかなんて
分からなくて

『なんか、変な感じになっちゃって
ごめんね？
あの、用事ってなに？』

「あぁ…コレ
サンキュな。
返そうと思って」

いつも通りを必死に装った

『え？ボトル…？？
いつでも、良かったのに…』

だろうな、俺もそう思う。