第1章 *
鍵穴に、鍵を差し込んで気付く。
ん?開いてる…?
おかしいです。
朝ちゃんと掛けて行ったはず。
ま、まさか…泥棒?
どうしましょうか!なんか、太刀打ちできるもの…あ、確か折り畳み傘が鞄に!
ゴソゴソと鞄の中を漁り、傘を取り出す。よし、準備オーケーです。
傘の手元をぎゅっと握り、ドアノブを回した。
入ると、玄関に一足の靴が目に入った。
おや、これは…。
見覚えのある靴です。ということは…!
靴を急いで脱いで、リビングに入ると予想した通りの人物が椅子に座りテレビを見ていた。
そんなお姿もかっこいいですね。
ちょっと悔しいですね。かっこよすぎて。
観察してると、不意に顔がこっちを向いた。
あ、吃驚してます。
「、お前帰ってきてんなら言えよ。」
「あ、ごめんなさい。ただいま、です。」
「…おかえり。つか今日遅くね?7時終わりだろ?」
「あ、実は本屋に寄ってから帰ってきたので…潤くんは今日はもう終わりですか?」
「うん、終わり。んで何買ってきたの?」
そう言われ、持っていた紙袋から取り出して
見せる。…潤くんが表紙を飾ってる雑誌を。
「相変わらず、かっこいいです。」
「相変わらずって。まあ、ありがと。」
顔がほんのり赤くなってますよ。かっこいいに加えて、可愛いです。
こんな人が彼氏、だなんて一年経っても信じれないです。
「顔にやけすぎ。」
「へ?あ、ごめんなさい。」
「つか欲しいならもらってくるよ?わざわざ買わなくても…」
「いえ!自分で買ってこそ意味があるんですよ!」
「ふぅん…そっか。」
なんか嬉しそうだな、潤くん。そういやご飯は食べたんでしょうか。