第7章 君の為に出来る事
「う、ん…」
額に冷たい感触がして目を覚ますと、そこは見慣れない寝室のベッドだった。
松岡「翔。起きたか」
「………昌宏さん…?」
松岡「覚えてるか?お前俺の目の前で倒れたんだよ。」
………おぼろげに甦る記憶。
そうか…確か…店の前で…。
松岡「さっき先生に診てもらった。過労と栄養不足からくる風邪だって。とりあえず今日はゆっくり休め」
「………帰らなきゃ…」
身体を起こそうとするけど上手く動けない。
松岡「無理すんな。そんな身体じゃ無理だ。寝てろ」
「………」
昌宏さんの手が伸び、俺の髪を撫でる。
「………ありがとう」
松岡「気にすんな。後で美味いもん食わせてやるから」
「………うん…」
身体が弱ってるからだろうか。
色々な感情が頭の中でぐるぐる回る。
松岡「翔…。何で泣いてんだよ」
いつの間にか流れていた涙を昌宏さんは親指で拭ってくれた。
「………昌宏さん…」
松岡「ん?」
「………逢いたかった…ずっと…」
松岡「………」
「ぐすっ…ずっと…忘れられなかった…」
松岡「………俺も…ずっとお前に逢いたかった。忘れられなかった。まだお前を…愛してる」
「………昌宏さん…」
昌宏さんがゆっくりと腰を上げ、俺に顔を近付ける。
俺は…それに応える様に目を閉じた。
そしてゆっくりと…俺達の唇が重なった。