第6章 連鎖
翔「おはよ雅紀」
翌朝、いつもより早い時間に目が覚め、キッチンに行くと既に起きていた翔が朝食の準備をしていた。
「おはよ~」
翔「どうしたの。今日は早いね」
「うん。目が覚めちゃった…」
欠伸をしながら俺は後ろから翔を抱き締めた。
「………昨日はごめんね。激しくしすぎた…」
翔「確かに激しかったけど…平気。後処理してくれたでしょ?」
「お腹壊しちゃいけないから…」
翔「ありがと。お陰でお腹痛くないし」
「そっか…良かった」
翔を抱き締めながら首筋に顔を埋める。
「………」
昨日の電話が頭を過る。
………松岡。
舞ちゃんが言っていた前付き合っていた男って…松岡なのか?
まだ…繋がってるとか?
でも…番号は電話帳登録されていなかったし…。
………電話があった事…言わなきゃいけないのに…出来ない。
翔「雅紀?」
何も言わずに悶々としてると、テーブルに置いていた翔の携帯が鳴った。
こんな朝早くに…まさか松岡?
翔「雅紀。ちょっとごめん」
険しい顔付きになった翔が俺から離れ、携帯を取った。
翔「………もしもし。はい私です」
翔の声は…微かに震え、今にも崩れ落ちそうだった。
「翔…?」
翔「わ、分かりました。今すぐ行きます」
電話を切ると、翔は涙を浮かべながら俺を見つめた。
「翔?」
翔「ま…舞…舞が…」
「え…舞ちゃん?」
翔「発作が…」
力が抜け、その場に崩れ落ちる翔を俺は慌てて受け止める。
「翔!しっかり!」
翔「どうしよう…舞…舞が…」
「落ち着け!」
声を上げると翔はハッとして俺を見つめ返す。
「翔しっかりしろ!今舞ちゃんを支えなくてどうすんだ!」
翔「………雅紀…」
「舞ちゃんは今戦ってんだろ?生きようと戦ってんだよ。だったら翔が支えなきゃ駄目だろ!泣いてる暇あったら早く病院行かなきゃだろ!?」
翔「っっ…うん…」
「俺が着いてる。言っただろ?俺が支えるって。俺が翔を支えるから。だから…一緒に頑張ろう。俺達も舞ちゃんと一緒に戦うんだ」
翔「うん…」
コクリと頷く翔を俺は強く抱き締めた。
「行こう。舞ちゃん待ってる」
俺は翔を起こし、しっかり手を繋いで病院へと向かった。