第3章 接近
女子社員「ねぇねぇ相葉くん」
「ん?」
女子社員「太一先輩て何か最近元気なくない?」
「んー…俺も気になってたんだよねそれ…」
もうすぐお昼が近いこの時間。
同期の女子社員が俺に近寄って来た。
女子社員「最近付き合い悪いしさ…黙々と仕事やってる感じでさ…皆気になってるんだよね。相葉くん仲良いから知ってるかなと思って…」
「いや…何も聞いてないな…」
話しながらチラッと太一先輩を見つめる。
太一先輩は黙々とパソコンでデータ処理をしていた。
確かに太一先輩はここ最近元気がないというか…仕事での話は毎日あるけどその他の会話はなかったな。
仕事帰りに飲みに誘われる事もないし…。
「ちょっとそれとなく聞いてみるよ」
女子社員「ありがと相葉くん」
ちょうどその時12時を知らせるチャイムが鳴り響いた。
女子社員「じゃあまたね」
「うん」
そのままその子は他の女子社員とお昼に出て行った。
太一先輩を見ると、パソコンを閉じ、お昼に向かう準備をしていた。
善は急げだな…。
「太一先輩!」
オフィスを出る太一先輩の背中に声を掛ける。
国分「ん?おお相葉。どうした?」
そう言って微笑む太一先輩はいつもの太一先輩に見えた。
「お昼一緒しますよ。何処にします?」
国分「あぁ…いや…まだ決めてなくてさ…」
「じゃあ近くに出来たあの蕎麦屋行きません?今度行こうって話してたとこ」
国分「んー…そうだな。行こうか」
一瞬迷った顔をした後、にっこりと微笑んだ。
俺は何時もと変わらない様に、ワイワイ喋りながら太一先輩の隣を歩いた。