第3章 接近
ーショウsideー
俺がベッドに誘って乗って来なかった男は居ない。
声色を変え、上目使いで見つめると下半身で生きてる男達は直ぐにその気になる。
ずっとそうだと思ってた。
目の前の男も、凄く動揺しながらも俺から目を離せない。
アフターなんてしたくないけど…背に腹は変えられない。勘違いした俺が悪いんだから。
それにこのまま放置すれば太一さんも店に来なくなるかもしれないし。
一度寝れば…彼も客になるかもしれない。
性格良さそうだから無茶しなさそうだしな…。
「俺…アフターはやらない主義なんだけど…今回は特別だから。酷い事したお詫び」
そのまま俺は相葉さんの首に腕を回した。
雅紀「ショウ…さん…」
もう人押し。
そのまま顔を近付けキスをしようとした。
でもそれは…ギリギリと所でかわされた。
雅紀「だ、駄目ですよ!」
俺の肩を掴み、ぐいっと押される。
「え…?」
雅紀「す、すみません…ショウさん色っぽくて持っていかれるとこだった…でも駄目ですよ…俺はこんなの求めてないから…」
「え、何で…?」
雅紀「俺は別に…こんな事しなくても謝ってくれたからそれでいいんです…」
「………俺と寝たくないの?」
雅紀「いや、その…」
しどろもどろになる彼。
馬鹿だな。素直になればいいのに。
「俺…78000円だよ。それが今日は…タダだよ?」
俺はもう一度、彼にキスをしようとした。
でも彼は必死に顔を背けて抵抗する。
雅紀「ほ、本当に駄目だって!」
今度は軽く突き飛ばされた。
雅紀「あ、ご、ごめんなさい…」
「………やっぱりまだ怒ってるんだ…」
雅紀「いや…だから違いますって」
「じゃあ何で…」
雅紀「………今の俺に…貴方と寝る気はないから…」
「………」
ハッキリ言うなこいつ。
雅紀「あ、その…ショウさんは魅力的ですよ?でもその…俺そういう人間じゃないっていうか…」
「………」
俺が黙って見つめていると、思い付いた様に彼は一気に顔を輝かせた。
雅紀「じゃあ…俺に付き合って下さい」
「え?あ…ちょっと…!」
彼は俺の腕を引き、歩き始めた。